広告・提携:あり この記事には成果報酬型広告(楽天市場)のリンクを含みます。紹介する道具は、本文の使い方に合うものをメーカーの公表情報から選んでいます。
「除草」とだけ書いたメモでは、どの圃場のどこまで終わったか、翌週に思い出せないかもしれません。日誌には、次の作業を決めるときに必要な情報を残しましょう。
基本は、あとで確認したいことから項目を決め、同じルールで書き、次の作業のために見返すことです。
これから記録を始める方、記録を活用したい方に向けて、記入から振り返りまでを紹介します。末尾の記録欄は、手帳や表計算に転記して使えます。
記入例は架空です。項目や運用手順は編集部の提案で、法令・提出先等の要件とは区別します。公的資料等は2026年9月29日時点の調査に基づきます。

農作業日誌には何を書く?基本項目と目的別の追加項目
まず、日誌で解決したいことを一つ選ぶ
まず「作業を引き継ぐ」「作業時間を知る」など、使い道を一つ選びます。その目的に合わせて、記録する項目と見返すときの問いを決めます。
基本の6項目
日常の作業管理に使う日誌のたたき台として、次の6項目を提案します。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 作業日 | 実際に作業した日。後日に書いたときは、記入した日も添える |
| 圃場・区画 | 家族や従業員が同じ場所を特定できる名前や番号 |
| 作物・作期 | 同じ圃場の、どの作付けの記録か。必要なら品種も |
| 作業内容・実施範囲 | 何を、どこまで行ったか。「管理」「作業」だけで済ませない |
| 作業者 | 実際に作業した人。記入した人と違う場合は両方 |
| 気づき・未完了事項 | 見たこと(事実)と、次に確かめること・行うことを分けて書く |
公的な例では、長野県適正農業規範が、作業日・作業者名・作業内容・作業時間・使用機械とその稼働時間を挙げています。
日常の日誌でも作物・作期を書き、同じ圃場の記録を作付けごとに追えるようにします。6項目を出発点に、目的に合う項目を足してください。
目的に合わせて足す項目
| 目的 | 足す項目と、見返すときの問い |
|---|---|
| 作業を引き継ぐ | 完了・未完了、残った範囲、次の担当。問い:次の人がどこから始めればよいか分かるか |
| 作業時間を把握する | 人ごとの開始・終了時刻と休憩、延べ時間と経過時間。問い:どの圃場・作業に時間を使ったか |
| 生育や収穫を振り返る | 観察した日と場所、写真、収穫量と単位、必要な気象情報。問い:同じ圃場・作期の経過を追えるか |
| 資材・機械の使用を振り返る | 資材名、使用日、使用場所、数量と単位、使用した機械。問い:何を、どこに、どれだけ使ったか確認できるか |
この記事の作業時間は、開始から終了までの時間から休憩を除いたものです。移動を含めるかも決めて明記します。作業を振り返るための記録で、給与計算・勤怠管理の記録を代替するものではありません。
農薬を使ったときは、上の表とは別に確認してください。 農薬を使用したときは、使用した年月日、場所、農作物等、農薬の種類又は名称、単位面積当たりの使用量又は希釈倍数を帳簿に記載するよう努めなければならない、と法令で定められています(農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令 第9条)。この記事では、薬剤の選び方や使用量の記入例は扱いません。
提出・認証用の記録には、項目・様式・提出時期・保存期間の指定がある場合があります。日常の日誌だけで足りると考えず、提出先の様式や基準を先に確認してください。
記入例で見る農作業日誌の書き方
ここからは、次の架空の経営を例にします。
- 家族経営の露地野菜。記録の担当は経営者
- 圃場A:キャベツ(2026年秋作)、24うね
- 圃場B:ブロッコリー(2026年秋作)、16うね
- 作業者:山田(経営者)、田中(パート)
日付・時間・うねの数は説明のために決めたもので、標準的な作業時間や作業の時期を示すものではありません。
例1:一人で作業した日の記録
作業のあとに、次のメモだけが残っていたとします。
10/6 除草した
場所・実施範囲・残りの作業が分かるよう、基本の6項目で書き直します。
架空の記入例:10月6日
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 作業日 | 2026年10月6日(火)※同日の夕方に記入 |
| 圃場・区画 | 圃場A |
| 作物・作期 | キャベツ 2026年秋作 |
| 作業内容・実施範囲 | うね間と株元の除草(手作業)。1〜14うね目まで |
| 作業者 | 山田 |
| 気づき・未完了事項 | 未実施:15〜24うね目。次:10月8日に15〜24うね目を除草する予定 |
| (目的別)人ごとの時間 | 山田 9:00〜11:30、休憩なし(2時間30分) |
残りの範囲が分かれば、別の人も引き継げます。時間の行は、作業時間を把握したい場合に足します。
例2:二人で作業した日の記録
二人で同じ作業をした日は、記録を1件にまとめ、人ごとの時間を並べます。
架空の記入例:10月8日
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 作業日 | 2026年10月8日(木) |
| 圃場・区画 | 圃場A |
| 作物・作期 | キャベツ 2026年秋作 |
| 作業内容・実施範囲 | うね間の除草(手作業)。15〜24うね目。株元は未実施 |
| 作業者 | 山田、田中 |
| 気づき・未完了事項 | 15〜24うね目の株元に草が残っている。次:株元の除草をいつ行うか、週末に決める |
| (目的別)人ごとの時間 | 山田 9:00〜10:30(1時間30分)/田中 9:00〜10:30(1時間30分)。休憩なし |
| (目的別)延べ時間・経過時間 | 延べ3時間(1.5時間+1.5時間=3人時)/経過1時間30分 |
経過時間は始めてから終わるまでの時計上の時間、延べ時間は人ごとの時間の合計です。「二人で3時間」とだけ書かず、区別します。集計では人別の明細と合計値をさらに足して二重に数えないようにします。
人によって時間が違う日は、一人ずつ計算してから足します。
架空の記入例:10月20日(圃場B・ブロッコリー2026年秋作、9〜16うね目のうね間と株元の除草。時間の行のみ抜粋)
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| (目的別)人ごとの時間 | 山田 9:00〜11:30、うち10:15〜10:30は休憩(2時間15分)/田中 9:00〜10:30、休憩なし(1時間30分) |
| (目的別)延べ時間・経過時間 | 延べ3時間45分(2時間15分+1時間30分=3.75人時)/経過2時間30分 |
経過時間に人数を掛けると、田中が先に終えた時間や山田の休憩まで数えてしまいます。人ごとに計算し、3.75人時=延べ3時間45分のように分の表記も添えます。
例3:複数の圃場を回った日の記録
一日に複数の圃場で作業した場合は、圃場ごとに記録を分けます。記録の単位を「作業日×圃場×作業内容」にしておくと、あとで圃場別・作業別に見返せます。
架空の記入例:10月15日(1件目)
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 作業日 | 2026年10月15日(木) |
| 圃場・区画 | 圃場A |
| 作物・作期 | キャベツ 2026年秋作 |
| 作業内容・実施範囲 | 株元の除草(手作業)。15〜24うね目 |
| 作業者 | 山田 |
| 気づき・未完了事項 | 圃場Aのうね間・株元は、24うねすべて済んだ |
| (目的別)人ごとの時間 | 下の「2件共通」の行に記録。圃場Aだけの時間は不明 |
架空の記入例:10月15日(2件目)
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 作業日 | 2026年10月15日(木) |
| 圃場・区画 | 圃場B |
| 作物・作期 | ブロッコリー 2026年秋作 |
| 作業内容・実施範囲 | うね間と株元の除草(手作業)。1〜8うね目 |
| 作業者 | 山田 |
| 気づき・未完了事項 | 未実施:9〜16うね目。次:10月20日に除草する予定 |
| (目的別)人ごとの時間 | 下の「2件共通」の行に記録。圃場Bだけの時間は不明 |
架空の記入例:10月15日(2件共通の時間)
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| (目的別)人ごとの時間 | 山田 8:30〜11:30、休憩なし(3時間。圃場Aから圃場Bへの移動を含む)。圃場別の内訳は不明 |
この日は合計の時間しか分かりません。3時間を1時間30分ずつ分けるような根拠のない配分はせず、「内訳は不明」と残します。両方の記録に3時間と書くと合計が6時間になるため、時間は共通の行に1回だけ書きます。
忙しい日も記録を続けるための入力ルール
書く人・タイミング・書き方をそろえるため、次のルールを決めておきます。
書く人・確かめる人とタイミングを決める
誰がいつ書き、誰が確かめるかを決めます。例えば「作業者が一日の終わりに書く」とします。一人経営なら確認も自分で兼ねます。
GAP(農業生産工程管理)に取り組む農業者向けの農林水産省「指導マニュアル(青果物)」も、記録の担当者・責任者を決めることを挙げています。以下では「GAPの手引き」と呼びます。
圃場名・作業名・単位をそろえる
同じ圃場を「A」「裏の畑」と別々に書くと、あとでまとめにくくなります。圃場の名前・場所・面積と作業名の一覧を作り、数量にはkgなどの単位も添えます。GAPの手引きは基本情報の整理を、農研機構の導入チェックリストは、営農管理システム導入時に作業名と内容の対応を話し合うことを挙げています。
予定と実績を分け、書けない日は仮メモを残す
予定と実績は別欄にし、予定を残したまま、行った範囲と残りの作業を書きます。
書く時間がとれない日は、作業日・圃場・作業内容だけでも仮メモに残し、当日中か翌日に補います。補うときは記入日を添え、分からない時間や数量は推測で埋めずに「未確認」と書きます。
漏れを確かめ、訂正は元の記載を残す
週に一度など、決めた間隔で作業予定表や仮メモと日誌を照合します。GAPの手引きも、記録すべき事項をリストにし、漏れを確かめることを挙げています。
書き間違いを直すときは、元の記載が読めるように線を引き、訂正した日・訂正した人・理由を添える方法をおすすめします。デジタルでも、訂正した日・人・理由を残します。提出先に訂正の決まりがある場合は、そちらに従います。
保管場所と転記のルールを決める
記録は紙でなくても構いません。GAPの手引きは、後から確認でき、ほかの人に伝えられ、保存できるものであれば記録として機能するとし、紛失や損傷を防ぐこと、すぐ取り出せるようにすること、電子データでは年度ごとにフォルダーを作るなどして上書きに注意することを挙げています。
紙とデジタルを併用する場合は、どちらを元の記録にするか、誰がいつ転記するかを決め、転記した紙に印を付けて二重の転記や漏れを防ぎます。残す期間は、提出先・認証・制度などの指定を確認したうえで、振り返りに使う期間も考えて決めてください。
日誌を振り返り、次の作業に生かす
日常の日誌を次の作業に使うために、次の順で見返すことを提案します。
- 記録にある事実
- 記録からは分からない点
- 追加で確かめること
- 次の行動

ここでは例として、週の終わりと作期の終わりに振り返ります。頻度は経営に合わせて決めてください。
週の確認:残った作業を次の予定につなぐ
例1・例2の記録を、10月10日(土)に見返した例です。
架空の振り返り例:10月5日〜10日の記録
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 記録にある事実 | 圃場Aのうね間は24うね済み(6日:1〜14うね目、8日:15〜24うね目)。株元は1〜14うね目のみで、残りに草ありとメモ。圃場Bの記録は今週なし |
| 分からない点 | 15〜24うね目の株元の草がどの程度か。圃場Bの草の状態 |
| 追加で確かめること | 圃場Aの15〜24うね目の株元と、圃場Bの状態を現地で見る |
| 次の行動 | 10月15日に、圃場Aの15〜24うね目の株元と、圃場Bの除草を予定する |
この週の除草は延べ5時間30分です。1うね当たりの平均は計算できますが、6日はうね間と株元、8日はうね間だけで、条件が違います。平均の差だけで効率を比較したり、次回の標準時間にしたりはできません。
作期の終わりの確認:時間をまとめ、次作で変えることを一つ決める
作期が終わったら、圃場別・作業別に時間をまとめます。ここでは、例1〜3に出てきた4日分・5件の記録だけを使って、まとめ方を示します。作期全体の合計ではありません。
架空の集計例:4日分・5件の除草の記録
| 区分 | 延べ時間 |
|---|---|
| 圃場A(6日・8日) | 2時間30分+3時間=5時間30分 |
| 圃場B(20日) | 2時間15分+1時間30分=3時間45分 |
| A・B共通(15日) | 3時間(移動を含み、内訳は不明) |
| 合計 | 12時間15分(12.25人時) |
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 記録にある事実 | 合計12時間15分(移動を含む)。圃場Aは5時間30分以上、圃場Bは3時間45分以上で、ほかに内訳不明の3時間がある |
| 分からない点 | 15日の3時間のうち、各圃場と移動の時間。記録していない作業がないか |
| 追加で確かめること | 作業予定表や手元のメモと照らし合わせ、書き漏れがないか確かめる |
| 次の行動 | 次の作期では、複数の圃場を回る日に、圃場ごとに入った時刻と出た時刻を書く |
15日の内訳が不明なため、圃場A・Bの除草時間の大小は確定できません。収穫量・品質の記録もなく、除草の効果も判断できません。分からない点を次に確かめる行動につなげます。
紙・Excel・アプリをどう使い分ける?
入力・共有・集計・保管の4つで選びます。現場で書けるか、誰が見るか、必要な集計ができるか、後から取り出せるかを確かめてください。
| 方法 | 向いている場面と、確かめること |
|---|---|
| 紙のノート・用紙 | 電源や通信がなくても書ける。集計は転記や手計算になるため、集計したい項目を確かめる。置き場所と、ほかの人が見られるかも決める |
| Excelなどの表計算 | 圃場名や作業名を決めた一覧から入力するようにすると、表記がそろい集計しやすい。複数人で使う場合の条件は下記 |
| 営農管理アプリ | 入力・共有・集計・出力の機能や料金は製品によって違う。端末や通信、データの取り出し方を試用で確かめる |
Excelのファイルを複数人で同時に編集するには、ファイルをOneDriveやSharePoint Onlineに保存し、.xlsxなどの対応する形式で、共同編集に対応したExcelを使う必要があります(Microsoft「Excel ブックの共同編集を使用して同時に共同作業を行う」)。共有する相手の端末やExcelの種類、保存先を先に確かめてください。
屋外で紙に書く場合は、立ったままでも書きやすい硬い表紙のノートや、水に強い紙のノートもあります。たとえば、コクヨの「測量野帳」には、中紙に樹脂ベースの合成紙を使い、メーカーが屋外・雨天などの現場での使用を想定した耐水タイプ(品番セ-Y31B・R・Y)があります。筆記具では、三菱鉛筆の加圧ボールペン「パワータンク」が、メーカーの説明では上向きや氷点下でも書けるとされています。いずれも編集部では使用感を検証していません。
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併用する場合は、先ほどの転記ルールを使います。アプリを検討するなら、日誌の項目と運用に照らして次の記事を使ってください。
- 必要な機能や導入条件を整理する:営農管理アプリの選び方|導入前に確認したい7つの条件
- 各サービスの公開情報を比べる:営農管理サービス5件を公開仕様で比較
- 費用と入力にかかる時間を見積もる:営農管理アプリの費用の考え方
- 試用で確かめる:営農管理アプリの無料トライアル|30日で確認するチェックリスト(本記事の記入例と同じ内容を入力してみる)
まずは1件記録し、見返す日を決める
必要な提出用記録の条件も確認しながら、次の3つから始めてください。
- 日誌で解決したいことを一つ選ぶ
- 下の記録欄に、今日か直近の作業を1件書く
- 次に見返す日と、確かめる人を決める
日誌の決めごと
| 決めること | 記入欄 |
|---|---|
| この日誌で解決したいこと | ______ |
| 書く人・確かめる人 | ______ |
| 次に見返す日 | ______ |
記録欄
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 作業日(記入日が違えば併記) | ______ |
| 圃場・区画 | ______ |
| 作物・作期 | ______ |
| 作業内容・実施範囲 | ______ |
| 作業者 | ______ |
| 気づき・未完了事項 | ______ |
| (目的別)人ごとの時間 | ______ |
| (目的別)延べ時間・経過時間 | ______ |
1件書いたら、決めた日に「事実 → 分からない点 → 確かめること → 次の行動」の順で読み返します。農薬を使った作業や提出に使う記録は、最初の章の注意と提出先の指定もあわせて確認してください。
この記事の調査・表示について
- 法令・公的資料・Microsoftの説明は、2026年9月29日時点の調査に基づきます。最新の内容は各資料で確認してください
- 紹介した道具の仕様は、2026年10月2日時点のメーカーの公表情報に基づきます。価格や在庫は販売店でご確認ください
- 記入例・集計例・振り返り例は、すべて架空の経営です。実在の農家の記録や、標準的な作業時間ではありません
- 基本項目、入力ルール、振り返りの手順は編集部の提案です。法令、出荷先、認証、補助事業などの制度の記録の要件を満たすことを保証するものではありません
- 実機での検証、取材、事業者・行政への問い合わせは行っていません
参照した資料
- e-Gov「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」:第9条(帳簿の記載)
- 農林水産省「国際水準GAPガイドライン」:GAPに取り組む農業者向けの指導マニュアル(青果物)。取組事項1〜10(基本情報、記録の作成・保存)
- 長野県「長野県適正農業規範(第2版)」:作業記録の内容
- 農研機構「営農管理システム導入成功のためのチェックリスト」:入力する人への教育、作業名と作業内容の対応
- Microsoft「Excel ブックの共同編集を使用して同時に共同作業を行う」:共同編集の条件
- コクヨ「野帳 耐水タイプ測量野帳 レベル,横罫22行 30枚 青」:中紙・表紙の材質と想定する使用場面(赤・黄も同じ仕様)
- 三菱鉛筆「パワータンク」:加圧式の仕組み、上向き・氷点下での筆記







