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  • 圃場管理の始め方|圃場一覧・名前・作付情報の整理手順

    圃場管理の始め方|圃場一覧・名前・作付情報の整理手順

    家族は「家の前の畑」、日誌には「A」、地図アプリには別の登録名。呼び方がばらばらだと、記録を見返したときに、どの圃場の話か分からなくなります。

    圃場管理の基本は、圃場ごとに変えない管理番号を1つ決め、呼び名・場所・面積を一覧にすることです。作物や作期のように作付けごとに変わる情報は別の表に書き、日誌やアプリでも同じ番号を使います。

    この記事を読むと、次の3つができるようになります。

    1. 管理番号・呼び名と、場所・面積の対応を一覧にする
    2. 圃場そのものの情報と、作付けごとに変わる情報を分ける
    3. 日誌と同じ番号を使い、変更があったときに一覧を直す

    記入例は架空です。項目や更新のルールは編集部の提案です。公的資料などは2026年10月1日時点の調査に基づきます。土地の権利や境界、申請・認証の要件は扱いません。

    上から見た3つの圃場に色と形の違う目印を付け、同じ目印の行がある一覧表と作付けのカードに結びつけたイメージ

    圃場管理は、圃場情報の使い道を確かめてから始める

    圃場の一覧で特に必要になる項目は、使い道によって変わります。最初に、何に使いたいかを確かめておきましょう。

    使い道特に必要な項目
    日誌で、どの圃場の記録か分かるようにする管理番号、呼び名
    家族や従業員と場所を共有する呼び名、場所の参照先
    圃場別・作物別に作業時間や資材をまとめる管理番号と、作付情報(作期・作物)
    営農管理アプリに登録する管理番号、呼び名、面積と単位

    農研機構の導入チェックリストは、営農管理システムを導入する場面について、圃場別・作物別に労働時間や資材投入量を把握する活用例を挙げています。

    管理番号と呼び名は、どの使い道でも必要です。ほかの項目は、使い道に合わせて埋めていきます。

    圃場一覧を作る:管理番号・呼び名・場所・面積

    有機JASの様式例では「一覧」と「記録」が分かれている

    農林水産省が示す有機JASの記録様式の例では、「ほ場一覧」に、ほ場ごとの番号・通称・所在地・面積などを書きます。作業の記録には、一覧で付けた番号を書きます。有機JASの認証を受ける、または目指す農家などに向けた例で、使用を強制するものではありません。

    この記事では、この形を参考に、日常の管理に使う圃場一覧を次のように提案します。

    項目書くこと
    管理番号経営内で付ける短い番号や記号。一度付けたら変えない
    呼び名(旧称)家族や従業員がふだん使う名前。変えたときは前の呼び名と変えた日も
    場所の参照先地番や、地図アプリの共有リンクなど、場所を確かめる手がかり
    面積と単位値と単位(aか㎡)
    面積の出典・確認日どこで調べた値か、いつ確かめたか
    使用期間・備考必要に応じて、使い始めた日・やめた日、区画の分け方など

    表計算で一覧にするときは、これらの項目を列の見出しにし、1圃場を1行にします。この記事では、スマートフォンでも読みやすいよう、記入例を1圃場ずつ縦に示します。

    1つの圃場として扱う範囲を決める

    次に、どの範囲を1つの圃場として一覧に載せるかを決めます。目安は、日誌で作業や作付けを書き分けたい範囲です。隣り合う数枚をいつも同じ作物・同じ作業で管理しているならまとめてもよく、1枚の中で作物を分けて作るなら区画で書き分けます。

    管理番号は短く、変えず、使い回さない

    管理番号は「A・B・C」でも「1・2・3」でもかまいません。大事なのは、短く書けること、一度付けたら変えないこと、使わなくなった圃場の番号をほかの圃場に使い回さないことです。番号を使い回すと、過去の記録が別の圃場を指してしまいます。

    日誌には管理番号を書き、慣れるまでは「A(家の前)」のように呼び名を添えると間違いにくくなります。

    地番や地図の位置は「場所の参照先」に書く

    地番は、登記所が一筆の土地ごとに付ける番号です(不動産登記法 第2条・第35条)。eMAFF農地ナビの使い方ガイドは、農地の所在・地番は住居住所とは異なると注記しています。

    地番を管理番号や名前に使う方法もあります。この記事では、日誌に書く短い管理番号と、場所を確かめる地番を別の欄にする方法を提案します。「場所の参照先」には地番や地図アプリの共有リンクを書き、一覧から場所を確かめられるようにします。分からない項目は推測で埋めず、「未確認」と残します。

    面積は「どこで調べた値か」も書く

    同じ圃場でも、面積の値は調べた資料や測り方によって違うことがあります。eMAFF農地ナビの使い方ガイドでは、面積欄の値は登記簿に登録された農地の面積で、あぜを含むと説明されています。

    また、国土交通省の説明では、登記簿に記載された面積が正確でない場合もあるとされています。

    国土地理院の地理院地図のように、地図上で範囲を囲んで面積を測る方法もあります。囲み方で値が変わるため、一覧には「概算」と書いておきます。

    一覧には、面積と単位(100㎡=1a)に、出典と確認日を添えます。複数の資料で値が違う場合は、元の値を上書きせず、それぞれを次の形で残します。

    面積:__a(地図で囲んだ値には「約」を付ける)/出典:__/確認日:__年__月__日

    申請や認証で面積を書くときは、提出先が指定する資料や出し方に従ってください。

    家族や記録ごとに違う呼び名をそろえる

    同じ圃場を人によって違う名前で呼んでいるときは、次の順で1つにそろえます。

    1. 家族・従業員の呼び方、日誌やメモ、地図アプリの登録名を書き出す
    2. 地図や現地で、どの呼び名が同じ圃場を指すか確かめる
    3. 一覧の「呼び名」を1つ決め、ほかの呼び名は旧称として残す
    4. 決めた番号と呼び名を全員に伝え、日誌やアプリの登録名もそろえる

    手順1・2のように、ほ場・施設のリストを現場と照合しながら作ることや、地図にほ場の位置を明確にすることは、GAP(農業生産工程管理)に取り組む農業者向けの農林水産省の指導マニュアル(青果物)も対策の例に挙げています。以下では「GAPの手引き」と呼びます。

    旧称を残しておくと、呼び名を変える前のメモや、家族が前の呼び方で書いた記録も読み返せます。日誌の書き方は農作業日誌の書き方で紹介しています。

    作物・品種・作期は「作付情報」として別の表に書く

    圃場は年によって変わりにくい一方、作物は作付けごとに替わります。両方を同じ表に書くと、作物が替わるたびに一覧を書き直すことになります。作付けの情報は別の表にし、管理番号で圃場一覧と結びます。

    項目書くこと
    圃場(管理番号・区画)圃場一覧と同じ番号。分けて使う場合は区画名も
    作期同じ圃場の作付けを区別する呼び方(例:2026年秋作)
    作物(品種)作物名。必要なら品種も
    状態予定・作付中・終了(決まっていなければ未定)
    開始・終了の記録日誌のどの記録で始まり、終わったか

    この記事では、同じ圃場の作付けを区別するため「2026年秋作」のような呼び方を使います。年をまたぐ作付けは、種まき・植え付けをした年と収穫する年のどちらで呼ぶかを決めておきます。1つの圃場を分けて使うときは、管理番号は変えずに「東」「西」などの区画名を作付情報に書きます。

    GAPの手引きは、出荷・収穫・栽培の記録を日付・ほ場名・品種名などで結びつけ、出荷した農産物の履歴をたどれるようにする考え方を示しています(取組事項11)。日常の管理でも、日誌の「圃場・区画」「作物・作期」の欄に作付情報と同じ番号・呼び方を書けば、作付けごとに記録を追えます。

    圃場一覧の管理番号を、作付情報の「管理番号・区画」と日誌の「圃場・区画」でも同じように使い、3つの記録を結ぶ流れを示した図
    図:midor/io編集部

    架空の3圃場で、一覧と日誌のつながりを見る

    ここからは、次の架空の経営を例にします。

    • 農作業日誌の書き方と同じ家族経営の露地野菜。作業者は山田(経営者)と田中(パート)
    • 圃場A・Bは同記事の例と同じ。圃場Cは2026年10月1日から借り始めた
    • 圃場Cと、後の例2(10月9日)の記録は、この記事のために足した架空の設定です。同記事の例や集計には含みません
    • 地番は架空で、地名の部分は伏せ字です。面積・確認日・作物も説明のために決めた架空の設定で、実在の農地の値や、標準的な規模・栽培時期を示すものではありません

    架空の記入例:圃場一覧(圃場A)

    項目記入内容
    管理番号A
    呼び名(旧称)家の前
    場所の参照先地番:〇〇字△△ 101/地図アプリの共有リンク
    面積と単位12a(1,200㎡)
    面積の出典・確認日eMAFF農地ナビの面積欄(登記簿の面積、あぜを含む)、2026年10月1日
    使用期間・備考記録を始める前から使用。1〜24うね

    架空の記入例:圃場一覧(圃場B)

    項目記入内容
    管理番号B
    呼び名(旧称)倉庫の裏
    場所の参照先地番:〇〇字△△ 205/地図アプリの共有リンク
    面積と単位8a(800㎡)
    面積の出典・確認日eMAFF農地ナビの面積欄(登記簿の面積、あぜを含む)、2026年10月1日
    使用期間・備考記録を始める前から使用。1〜16うね

    架空の記入例:圃場一覧(圃場C)

    項目記入内容
    管理番号C
    呼び名(旧称)川沿い(旧称:新しい畑。2026年10月9日に変更)
    場所の参照先地番:未確認(貸し手に確認する)/地図アプリの共有リンク
    面積と単位約15a(約1,500㎡)
    面積の出典・確認日地理院地図で外周を囲んだ概算(あぜを含めて囲んだ)、2026年10月1日
    使用期間・備考2026年10月1日から使用。中央の通路で東・西の区画に分ける。区画ごとの面積は未確認

    AとBはeMAFF農地ナビの面積欄の値、Cは地図の概算です。3つの面積を足すと出典の違う値が混ざるため、合計を出すときは「概算を含む」と書き添えます。

    架空の記入例:作付情報

    圃場・区画作期・作物・状態
    A・全体(1〜24うね)2026年秋作・キャベツ・作付中
    B・全体(1〜16うね)2026年秋作・ブロッコリー・作付中
    C・東2026年秋作・だいこん・予定
    C・西未定

    圃場Cは、区画ごとに予定を書く例です。東は作付けの予定を登録し、西はまだ決めていないため「未定」としています。品種は記入例では省略しています。記入欄と同じ形で1件書くと、次のようになります。

    架空の記入例:作付情報(C・東)

    項目記入内容
    圃場(管理番号・区画)C・東
    作期2026年秋作
    作物(品種)だいこん(品種は未定)
    状態予定
    開始・終了の記録未開始。作付けを始めたら、日誌のその作業日を書く

    例1:日誌の記録から、一覧と作付情報を引く

    同記事の例1(10月6日の記録)は、一覧と次のように対応します。

    日誌の欄記入内容と、一覧での確認
    作業日2026年10月6日(火)
    圃場・区画圃場A → 圃場一覧のA(家の前、12a)
    作物・作期キャベツ 2026年秋作 → 作付情報の「A・全体」の行

    例2:呼び名の違うメモを、一覧で特定する

    呼び名をそろえる前に書かれた、次のメモが残っていたとします。

    10/9 新しい畑の草の様子を見た(田中)

    一覧の旧称を見ると、「新しい畑」は圃場Cだと分かります。日誌には次のように書き直します。

    架空の記入例:10月9日

    項目記入内容
    作業日2026年10月9日(金)※10月10日にメモから書き直し
    圃場・区画C(川沿い)、東・西とも
    作物・作期作付けなし(東は2026年秋作のだいこんを予定)
    作業内容・実施範囲草の状態の見回り
    作業者田中
    気づき・未完了事項草の量はメモになく不明。草刈りが必要か、山田と現地で確かめる

    圃場の追加や作付けの変更があったときの更新ルール

    一覧は、圃場や作付けが変わったら直します。過去の記録をあとから追えるよう、次のルールをおすすめします。

    こんなとき一覧・作付情報の直し方
    圃場が増えた新しい管理番号を付け、使い始めた日を書く。ほかの圃場の番号は変えない
    呼び名を変えた管理番号は変えず、旧称と変えた日を残す
    圃場を分けて使う管理番号は変えず、区画名を作付情報に書く。ずっと別の圃場として管理するなら、新しい番号の行に使い始めた日と元の番号を書き、元の番号の行にも分けた日を書く
    圃場を使わなくなった行は消さず、やめた日を書く。番号はほかの圃場に使い回さない
    作付けが終わった・替わった作付情報の状態を「終了」にして行を残し、次の作付けは新しい行に書く

    見直すタイミングの例は、作付けを始める前と終わったとき、圃場が増えたり減ったりしたときです。日誌を振り返る日に合わせて一覧も確かめると、直し忘れを防ぎやすくなります。頻度は経営に合わせて決めてください。

    まず1圃場を書き、日誌やアプリで同じ番号を使う

    全部の圃場をそろえてから始める必要はありません。次の3つから始めてください。

    1. 一覧の使い道を確かめ、よく作業する圃場を1つ選んで、下の記入欄に書く
    2. その圃場の今の作付けを、作付情報の欄に書く
    3. 日誌やアプリでも、同じ管理番号と呼び名を使う

    記入欄は、手帳や表計算に転記して使えます。

    圃場一覧の記入欄

    項目記入内容
    管理番号______
    呼び名(旧称)______
    場所の参照先______
    面積と単位______
    面積の出典・確認日______
    使用期間・備考______

    作付情報の記入欄

    項目記入内容
    圃場(管理番号・区画)______
    作期______
    作物(品種)______
    状態______
    開始・終了の記録______

    一覧ができたら、日誌の圃場欄にその番号を書いて記録を始めます。営農管理アプリを検討する場合は、登録する圃場の数や地図の扱いを確かめるときにも一覧が役立ちます。アプリを選ぶときの条件は営農管理アプリの選び方|導入前に確認したい7つの条件で整理しています。

    この記事の調査・表示について

    • 法令・公的資料などは、2026年10月1日時点の調査に基づきます。最新の内容は各資料で確認してください
    • 記入例は、地番・面積・確認日を含めてすべて架空の経営です。実在の農家や農地の値ではありません
    • 圃場一覧・作付情報の項目、管理番号の付け方、更新のルールは編集部の提案です。申請・認証などで提出する書類の要件を満たすことを保証するものではありません
    • 土地の権利や境界、面積の正誤の判断は扱っていません
    • 実機での検証、取材、事業者・行政への問い合わせは行っていません

    参照した資料

  • 農作業日誌の書き方|記録項目と記入例、続け方・振り返り方

    農作業日誌の書き方|記録項目と記入例、続け方・振り返り方

    広告・提携:あり この記事には成果報酬型広告(楽天市場)のリンクを含みます。紹介する道具は、本文の使い方に合うものをメーカーの公表情報から選んでいます。

    「除草」とだけ書いたメモでは、どの圃場のどこまで終わったか、翌週に思い出せないかもしれません。日誌には、次の作業を決めるときに必要な情報を残しましょう。

    基本は、あとで確認したいことから項目を決め、同じルールで書き、次の作業のために見返すことです。

    これから記録を始める方、記録を活用したい方に向けて、記入から振り返りまでを紹介します。末尾の記録欄は、手帳や表計算に転記して使えます。

    記入例は架空です。項目や運用手順は編集部の提案で、法令・提出先等の要件とは区別します。公的資料等は2026年9月29日時点の調査に基づきます。

    開いた農作業日誌と鉛筆、見返す日に印を付けた予定表で、記録して見返す流れを表したイメージ

    農作業日誌には何を書く?基本項目と目的別の追加項目

    まず、日誌で解決したいことを一つ選ぶ

    まず「作業を引き継ぐ」「作業時間を知る」など、使い道を一つ選びます。その目的に合わせて、記録する項目と見返すときの問いを決めます。

    基本の6項目

    日常の作業管理に使う日誌のたたき台として、次の6項目を提案します。

    項目書くこと
    作業日実際に作業した日。後日に書いたときは、記入した日も添える
    圃場・区画家族や従業員が同じ場所を特定できる名前や番号
    作物・作期同じ圃場の、どの作付けの記録か。必要なら品種も
    作業内容・実施範囲何を、どこまで行ったか。「管理」「作業」だけで済ませない
    作業者実際に作業した人。記入した人と違う場合は両方
    気づき・未完了事項見たこと(事実)と、次に確かめること・行うことを分けて書く

    公的な例では、長野県適正農業規範が、作業日・作業者名・作業内容・作業時間・使用機械とその稼働時間を挙げています。

    日常の日誌でも作物・作期を書き、同じ圃場の記録を作付けごとに追えるようにします。6項目を出発点に、目的に合う項目を足してください。

    目的に合わせて足す項目

    目的足す項目と、見返すときの問い
    作業を引き継ぐ完了・未完了、残った範囲、次の担当。問い:次の人がどこから始めればよいか分かるか
    作業時間を把握する人ごとの開始・終了時刻と休憩、延べ時間と経過時間。問い:どの圃場・作業に時間を使ったか
    生育や収穫を振り返る観察した日と場所、写真、収穫量と単位、必要な気象情報。問い:同じ圃場・作期の経過を追えるか
    資材・機械の使用を振り返る資材名、使用日、使用場所、数量と単位、使用した機械。問い:何を、どこに、どれだけ使ったか確認できるか

    この記事の作業時間は、開始から終了までの時間から休憩を除いたものです。移動を含めるかも決めて明記します。作業を振り返るための記録で、給与計算・勤怠管理の記録を代替するものではありません。

    農薬を使ったときは、上の表とは別に確認してください。 農薬を使用したときは、使用した年月日、場所、農作物等、農薬の種類又は名称、単位面積当たりの使用量又は希釈倍数を帳簿に記載するよう努めなければならない、と法令で定められています(農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令 第9条)。この記事では、薬剤の選び方や使用量の記入例は扱いません。

    提出・認証用の記録には、項目・様式・提出時期・保存期間の指定がある場合があります。日常の日誌だけで足りると考えず、提出先の様式や基準を先に確認してください。

    記入例で見る農作業日誌の書き方

    ここからは、次の架空の経営を例にします。

    • 家族経営の露地野菜。記録の担当は経営者
    • 圃場A:キャベツ(2026年秋作)、24うね
    • 圃場B:ブロッコリー(2026年秋作)、16うね
    • 作業者:山田(経営者)、田中(パート)

    日付・時間・うねの数は説明のために決めたもので、標準的な作業時間や作業の時期を示すものではありません。

    例1:一人で作業した日の記録

    作業のあとに、次のメモだけが残っていたとします。

    10/6 除草した

    場所・実施範囲・残りの作業が分かるよう、基本の6項目で書き直します。

    架空の記入例:10月6日

    項目記入内容
    作業日2026年10月6日(火)※同日の夕方に記入
    圃場・区画圃場A
    作物・作期キャベツ 2026年秋作
    作業内容・実施範囲うね間と株元の除草(手作業)。1〜14うね目まで
    作業者山田
    気づき・未完了事項未実施:15〜24うね目。次:10月8日に15〜24うね目を除草する予定
    (目的別)人ごとの時間山田 9:00〜11:30、休憩なし(2時間30分)

    残りの範囲が分かれば、別の人も引き継げます。時間の行は、作業時間を把握したい場合に足します。

    例2:二人で作業した日の記録

    二人で同じ作業をした日は、記録を1件にまとめ、人ごとの時間を並べます。

    架空の記入例:10月8日

    項目記入内容
    作業日2026年10月8日(木)
    圃場・区画圃場A
    作物・作期キャベツ 2026年秋作
    作業内容・実施範囲うね間の除草(手作業)。15〜24うね目。株元は未実施
    作業者山田、田中
    気づき・未完了事項15〜24うね目の株元に草が残っている。次:株元の除草をいつ行うか、週末に決める
    (目的別)人ごとの時間山田 9:00〜10:30(1時間30分)/田中 9:00〜10:30(1時間30分)。休憩なし
    (目的別)延べ時間・経過時間延べ3時間(1.5時間+1.5時間=3人時)/経過1時間30分

    経過時間は始めてから終わるまでの時計上の時間、延べ時間は人ごとの時間の合計です。「二人で3時間」とだけ書かず、区別します。集計では人別の明細と合計値をさらに足して二重に数えないようにします。

    人によって時間が違う日は、一人ずつ計算してから足します。

    架空の記入例:10月20日(圃場B・ブロッコリー2026年秋作、9〜16うね目のうね間と株元の除草。時間の行のみ抜粋)

    項目記入内容
    (目的別)人ごとの時間山田 9:00〜11:30、うち10:15〜10:30は休憩(2時間15分)/田中 9:00〜10:30、休憩なし(1時間30分)
    (目的別)延べ時間・経過時間延べ3時間45分(2時間15分+1時間30分=3.75人時)/経過2時間30分

    経過時間に人数を掛けると、田中が先に終えた時間や山田の休憩まで数えてしまいます。人ごとに計算し、3.75人時=延べ3時間45分のように分の表記も添えます。

    例3:複数の圃場を回った日の記録

    一日に複数の圃場で作業した場合は、圃場ごとに記録を分けます。記録の単位を「作業日×圃場×作業内容」にしておくと、あとで圃場別・作業別に見返せます。

    架空の記入例:10月15日(1件目)

    項目記入内容
    作業日2026年10月15日(木)
    圃場・区画圃場A
    作物・作期キャベツ 2026年秋作
    作業内容・実施範囲株元の除草(手作業)。15〜24うね目
    作業者山田
    気づき・未完了事項圃場Aのうね間・株元は、24うねすべて済んだ
    (目的別)人ごとの時間下の「2件共通」の行に記録。圃場Aだけの時間は不明

    架空の記入例:10月15日(2件目)

    項目記入内容
    作業日2026年10月15日(木)
    圃場・区画圃場B
    作物・作期ブロッコリー 2026年秋作
    作業内容・実施範囲うね間と株元の除草(手作業)。1〜8うね目
    作業者山田
    気づき・未完了事項未実施:9〜16うね目。次:10月20日に除草する予定
    (目的別)人ごとの時間下の「2件共通」の行に記録。圃場Bだけの時間は不明

    架空の記入例:10月15日(2件共通の時間)

    項目記入内容
    (目的別)人ごとの時間山田 8:30〜11:30、休憩なし(3時間。圃場Aから圃場Bへの移動を含む)。圃場別の内訳は不明

    この日は合計の時間しか分かりません。3時間を1時間30分ずつ分けるような根拠のない配分はせず、「内訳は不明」と残します。両方の記録に3時間と書くと合計が6時間になるため、時間は共通の行に1回だけ書きます。

    忙しい日も記録を続けるための入力ルール

    書く人・タイミング・書き方をそろえるため、次のルールを決めておきます。

    書く人・確かめる人とタイミングを決める

    誰がいつ書き、誰が確かめるかを決めます。例えば「作業者が一日の終わりに書く」とします。一人経営なら確認も自分で兼ねます。

    GAP(農業生産工程管理)に取り組む農業者向けの農林水産省「指導マニュアル(青果物)」も、記録の担当者・責任者を決めることを挙げています。以下では「GAPの手引き」と呼びます。

    圃場名・作業名・単位をそろえる

    同じ圃場を「A」「裏の畑」と別々に書くと、あとでまとめにくくなります。圃場の名前・場所・面積と作業名の一覧を作り、数量にはkgなどの単位も添えます。GAPの手引きは基本情報の整理を、農研機構の導入チェックリストは、営農管理システム導入時に作業名と内容の対応を話し合うことを挙げています。

    予定と実績を分け、書けない日は仮メモを残す

    予定と実績は別欄にし、予定を残したまま、行った範囲と残りの作業を書きます。

    書く時間がとれない日は、作業日・圃場・作業内容だけでも仮メモに残し、当日中か翌日に補います。補うときは記入日を添え、分からない時間や数量は推測で埋めずに「未確認」と書きます。

    漏れを確かめ、訂正は元の記載を残す

    週に一度など、決めた間隔で作業予定表や仮メモと日誌を照合します。GAPの手引きも、記録すべき事項をリストにし、漏れを確かめることを挙げています。

    書き間違いを直すときは、元の記載が読めるように線を引き、訂正した日・訂正した人・理由を添える方法をおすすめします。デジタルでも、訂正した日・人・理由を残します。提出先に訂正の決まりがある場合は、そちらに従います。

    保管場所と転記のルールを決める

    記録は紙でなくても構いません。GAPの手引きは、後から確認でき、ほかの人に伝えられ、保存できるものであれば記録として機能するとし、紛失や損傷を防ぐこと、すぐ取り出せるようにすること、電子データでは年度ごとにフォルダーを作るなどして上書きに注意することを挙げています。

    紙とデジタルを併用する場合は、どちらを元の記録にするか、誰がいつ転記するかを決め、転記した紙に印を付けて二重の転記や漏れを防ぎます。残す期間は、提出先・認証・制度などの指定を確認したうえで、振り返りに使う期間も考えて決めてください。

    日誌を振り返り、次の作業に生かす

    日常の日誌を次の作業に使うために、次の順で見返すことを提案します。

    1. 記録にある事実
    2. 記録からは分からない点
    3. 追加で確かめること
    4. 次の行動
    あとで確認したいことから項目を決め、同じルールで書き、決めた日に事実・分からない点・確かめること・次の行動の順で見返して、次の作業を決める流れ
    図:midor/io編集部

    ここでは例として、週の終わりと作期の終わりに振り返ります。頻度は経営に合わせて決めてください。

    週の確認:残った作業を次の予定につなぐ

    例1・例2の記録を、10月10日(土)に見返した例です。

    架空の振り返り例:10月5日〜10日の記録

    段階内容
    記録にある事実圃場Aのうね間は24うね済み(6日:1〜14うね目、8日:15〜24うね目)。株元は1〜14うね目のみで、残りに草ありとメモ。圃場Bの記録は今週なし
    分からない点15〜24うね目の株元の草がどの程度か。圃場Bの草の状態
    追加で確かめること圃場Aの15〜24うね目の株元と、圃場Bの状態を現地で見る
    次の行動10月15日に、圃場Aの15〜24うね目の株元と、圃場Bの除草を予定する

    この週の除草は延べ5時間30分です。1うね当たりの平均は計算できますが、6日はうね間と株元、8日はうね間だけで、条件が違います。平均の差だけで効率を比較したり、次回の標準時間にしたりはできません。

    作期の終わりの確認:時間をまとめ、次作で変えることを一つ決める

    作期が終わったら、圃場別・作業別に時間をまとめます。ここでは、例1〜3に出てきた4日分・5件の記録だけを使って、まとめ方を示します。作期全体の合計ではありません。

    架空の集計例:4日分・5件の除草の記録

    区分延べ時間
    圃場A(6日・8日)2時間30分+3時間=5時間30分
    圃場B(20日)2時間15分+1時間30分=3時間45分
    A・B共通(15日)3時間(移動を含み、内訳は不明)
    合計12時間15分(12.25人時)
    段階内容
    記録にある事実合計12時間15分(移動を含む)。圃場Aは5時間30分以上、圃場Bは3時間45分以上で、ほかに内訳不明の3時間がある
    分からない点15日の3時間のうち、各圃場と移動の時間。記録していない作業がないか
    追加で確かめること作業予定表や手元のメモと照らし合わせ、書き漏れがないか確かめる
    次の行動次の作期では、複数の圃場を回る日に、圃場ごとに入った時刻と出た時刻を書く

    15日の内訳が不明なため、圃場A・Bの除草時間の大小は確定できません。収穫量・品質の記録もなく、除草の効果も判断できません。分からない点を次に確かめる行動につなげます。

    紙・Excel・アプリをどう使い分ける?

    入力・共有・集計・保管の4つで選びます。現場で書けるか、誰が見るか、必要な集計ができるか、後から取り出せるかを確かめてください。

    方法向いている場面と、確かめること
    紙のノート・用紙電源や通信がなくても書ける。集計は転記や手計算になるため、集計したい項目を確かめる。置き場所と、ほかの人が見られるかも決める
    Excelなどの表計算圃場名や作業名を決めた一覧から入力するようにすると、表記がそろい集計しやすい。複数人で使う場合の条件は下記
    営農管理アプリ入力・共有・集計・出力の機能や料金は製品によって違う。端末や通信、データの取り出し方を試用で確かめる

    Excelのファイルを複数人で同時に編集するには、ファイルをOneDriveやSharePoint Onlineに保存し、.xlsxなどの対応する形式で、共同編集に対応したExcelを使う必要があります(Microsoft「Excel ブックの共同編集を使用して同時に共同作業を行う」)。共有する相手の端末やExcelの種類、保存先を先に確かめてください。

    屋外で紙に書く場合は、立ったままでも書きやすい硬い表紙のノートや、水に強い紙のノートもあります。たとえば、コクヨの「測量野帳」には、中紙に樹脂ベースの合成紙を使い、メーカーが屋外・雨天などの現場での使用を想定した耐水タイプ(品番セ-Y31B・R・Y)があります。筆記具では、三菱鉛筆の加圧ボールペン「パワータンク」が、メーカーの説明では上向きや氷点下でも書けるとされています。いずれも編集部では使用感を検証していません。

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    併用する場合は、先ほどの転記ルールを使います。アプリを検討するなら、日誌の項目と運用に照らして次の記事を使ってください。

    まずは1件記録し、見返す日を決める

    必要な提出用記録の条件も確認しながら、次の3つから始めてください。

    1. 日誌で解決したいことを一つ選ぶ
    2. 下の記録欄に、今日か直近の作業を1件書く
    3. 次に見返す日と、確かめる人を決める

    日誌の決めごと

    決めること記入欄
    この日誌で解決したいこと______
    書く人・確かめる人______
    次に見返す日______

    記録欄

    項目記入内容
    作業日(記入日が違えば併記)______
    圃場・区画______
    作物・作期______
    作業内容・実施範囲______
    作業者______
    気づき・未完了事項______
    (目的別)人ごとの時間______
    (目的別)延べ時間・経過時間______

    1件書いたら、決めた日に「事実 → 分からない点 → 確かめること → 次の行動」の順で読み返します。農薬を使った作業や提出に使う記録は、最初の章の注意と提出先の指定もあわせて確認してください。

    この記事の調査・表示について

    • 法令・公的資料・Microsoftの説明は、2026年9月29日時点の調査に基づきます。最新の内容は各資料で確認してください
    • 紹介した道具の仕様は、2026年10月2日時点のメーカーの公表情報に基づきます。価格や在庫は販売店でご確認ください
    • 記入例・集計例・振り返り例は、すべて架空の経営です。実在の農家の記録や、標準的な作業時間ではありません
    • 基本項目、入力ルール、振り返りの手順は編集部の提案です。法令、出荷先、認証、補助事業などの制度の記録の要件を満たすことを保証するものではありません
    • 実機での検証、取材、事業者・行政への問い合わせは行っていません

    参照した資料